士業の難易度を比較!難関士業と合格までの勉強時間

士業の難易度を比較!難関士業と合格までの勉強時間

一般的に士業資格は「難しそう」というイメージを持たれがちですが、資格によって難易度には大きな差があります。

いわゆる難関士業と呼ばれ、数年かけて合格を目指す資格がある一方で、1年程度の学習で合格を目指せる資格もあります。

そのため、合格までに必要な勉強時間の目安を知ったうえで、目指す資格を検討することが大切です。

また、資格によっては合格しなければ評価されにくいものもあれば、試験勉強で身につけた知識自体が役立つものもあります。

いずれにしても、士業の資格試験は少なくとも1年近く勉強することになります。難易度や勉強時間を参考にしながら、自分に合った士業を選んでいくとよいでしょう。

目次

士業の難易度を比較!勉強時間や合格率

士業試験の難易度を判断するうえで、重要な指標となるのが勉強時間合格率です。

一般的には、必要な勉強時間が長く、合格率が低い試験ほど難易度が高いと考えられます。

ただし、注意したいのが受験者層の違いです。

たとえば、弁護士になるための司法試験は合格率が約40%と比較的高く見えます。

しかし実際には、受験できるのは法科大学院を修了した人や予備試験に合格した人など、すでに高い実力を持つ層に限られています。

そのため、数字上の合格率とは裏腹に、実際の合格難易度は非常に高い試験といえます。

資格名難易度勉強時間の目安合格率受験資格
弁護士最難関3,000〜6,000時間約40% ※受験前の要件ありあり
司法書士難関2,000〜3,000時間約4〜5%なし
社会保険労務士やや難関800〜1,500時間約6〜7%あり
税理士難関3,000〜5,000時間約15〜20%(科目別)あり
行政書士標準600〜1,000時間約10〜15%なし
弁理士難関2,000〜3,000時間約6%前後なし
土地家屋調査士やや難関1,000〜2,000時間約8〜9%なし
海事代理士やや易200〜400時間高め(非公表)なし
中小企業診断士やや難関800〜1,200時間約4〜5%(最終合格)なし
公認会計士最難関3,000〜5,000時間約7〜10%なし
不動産鑑定士最難関3,000〜5,000時間約10%前後なし
士業の難易度比較表

勉強時間や合格率はあくまで参考情報として捉えつつ、試験問題や出題内容に実際に触れてみて、自分の感覚で難易度を確かめることも大切です。

各士業の詳細についても見ていきましょう。

弁護士

弁護士になるための司法試験は、日本において最難関クラスの国家資格といわれています。

出題範囲が非常に広く、憲法・民法・刑法をはじめとした主要法律科目を深く理解する力が求められます。

合格までに必要な勉強時間は一般的に3,000〜6,000時間程度です。数年単位で計画的に学習を続ける覚悟が必要です。その分、司法試験は何年もかけて合格を目指す価値のある資格といえるでしょう。

法律の基礎から応用まで体系的に学べるため、合格に至らなくても得られる知識は大きな財産になります。

また、司法試験で学ぶ科目は、司法書士や行政書士の試験科目と重なる部分が多いのも特徴です。

そのため、学習の途中で司法書士や行政書士の資格を取得したり、進路を切り替えたりする人もいます。

司法書士

司法書士試験は、非常に難易度の高い試験です。

民法・不動産登記法・会社法など覚える範囲が広く、特に択一試験は司法試験と同程度に難しいと感じる受験者も少なくありません。

必要な勉強時間は一般的に2,000〜3,000時間以上。1年で合格する人は多くないのが実情です。

そのため、複数年かけて計画的に学習する受験者が多く、合格者の平均年齢が比較的高い点も特徴といえます。

また、司法書士試験で身につく法律知識は行政書士試験と重なる部分が多いため、知識を活かしてダブルライセンスを取得する人もいます。

社会保険労務士

社会保険労務士試験は、難関に位置づけられる試験です。

合格率は例年6〜7%前後と低く、安定して合格するには十分な勉強が必要とされます。勉強時間の目安は800〜1,500時間程度です。

法律科目に加え、労働保険や社会保険に関する幅広い知識が求められます。

試験の特徴として、保険料率や給付日数など、細かな数字の暗記が多い点が挙げられます。そのため、理解していても記憶の精度が合否を左右する場面が少なくありません。

実力があっても年によっては不合格になることも珍しくない試験です。

知識の定着と繰り返しの演習を重ね、安定して得点できる力を養うことが重要といえるでしょう。

税理士

税理士試験は、比較的難易度の高い試験です。

科目ごとに合格できる「科目合格制度」が大きな特徴です。全科目を一度に突破する必要はなく、複数年かけて段階的に合格を積み上げられるため、長期戦を前提に受験計画を立てていきます。

勉強時間は1科目あたり500〜1,000時間程度が目安とされ、5科目合格を目指す場合は合計で3,000〜5,000時間以上になることも珍しくありません。

なお、科目合格だけでも評価されやすく、税理士法人・税理士事務所の採用はもちろん、一般企業でも会計・税務スキルの証明として有利に働くことがあります。

限られた時間で成果を出すためにも、得意科目の選択や学習順序を含めて戦略的に取り組むことが大切です。

行政書士

行政書士試験は、最難関ではなく、標準的な難易度の試験です。

ただし、決して簡単な試験ではありません。法律の基礎知識を中心に体系的な学習が欠かせません。

合格率は例年10%前後です。十分な準備をせずに合格できる試験ではないといえるでしょう。

勉強時間の目安は600〜1,000時間程度。初学者の場合は1年以上かけて対策する人も少なくありません。

試験科目には憲法・民法・行政法などが含まれています。そのため、司法試験へのステップとして行政書士試験を受験する人もいます。

弁理士

弁理士試験は、一般的な知名度こそ高くありませんが難易度の高い試験に分類されます。

特許法や商標法を中心に、知的財産に関する専門的な法律知識が問われます。

合格率は例年6%前後と低く、十分な対策が欠かせません。勉強時間の目安は2,000〜3,000時間程度です。

受験者には理系出身者が多くいます。ただ、試験内容は法律が中心のため、文系出身者でも十分に合格を目指せます。

ただし、特許制度を理解するうえでは、発明の仕組みや技術的な背景を読み取る力が求められる場面もあります。

土地家屋調査士

土地家屋調査士試験は、試験科目や考え方は司法書士試験と近い部分があります。

不動産に関する法律知識を正確に理解する力が必要です。特に、不動産登記のうち表示に関する登記を中心とした専門的な内容が出題されます。

勉強時間の目安は1,000〜2,000時間程度とされており、やや難関の試験です。

法律科目に加えて測量や図面作成に関する知識も必要になります。そのため、暗記だけでなく、内容を理解しながら進めなければなりません。

すでに司法書士試験の学習経験がある人にとっては取り組みやすい試験といえるでしょう。

海事代理士

海事代理士試験は、難易度が低めとされる試験です。

行政書士資格などをすでに持っている人が受験するケースも多く、その影響もあって合格率は比較的高めとなっています。

そのため、試験対策としては取り組みやすい部類に入るでしょう。

勉強時間の目安は200〜400時間程度です。試験内容は船舶登録や海事法令など専門性が高く、一般的な資格試験とはやや性質が異なります。

「とりあえず資格を取るために受験する」というよりも、実務で海事手続きが必要になり、知識を身につける目的で受験する人が多いのが特徴です。

実務と直結した知識が問われる試験といえるでしょう。

中小企業診断士

中小企業診断士試験は、士業資格の中では標準〜やや難しいレベルに位置づけられます。

一次試験と二次試験に分かれており、知識だけでなく事例を読み解き、与件から考察する力が求められます。

単純な暗記では対応しにくく、理解と応用が重要になります。

勉強時間の目安は800〜1,200時間程度。働きながら数年かけて合格を目指す受験者も少なくありません。

特徴的なのは、資格取得をゴールとするだけでなく、経営やマーケティングの知識を身につけるためのスキルアップ目的で受験する人が多い点が挙げられます。

公認会計士

公認会計士試験は、弁護士・医師と並ぶ「三大国家資格」の一つです。非常に難易度の高い試験です。

財務会計論や管理会計論をはじめ、監査論・企業法など出題範囲は広く、内容も高度で専門性が求められます。

会計理論を深く理解したうえで、計算力や論理的思考力が求められます。

勉強時間の目安は3,000〜5,000時間程度です。数年かけて合格を目指す受験者が一般的です。

試験内容は、実際の仕事内容の難しさを反映しています。数字を扱う正確さと判断力が常に問われます。

その分、試験を通じて身につく知識や思考力は非常にレベルが高く、時間をかけて挑戦する価値のある試験といえるでしょう。

不動産鑑定士

不動産鑑定士試験は、文系資格の中で三大国家資格の一つとされるほど難易度の高い試験です。

法律・経済・会計・不動産鑑定理論といった幅広い分野から出題されます。特に論文試験では高度な分析力と表現力が求められます。

合格率は低く資格者数も少ないため、試験そのもののハードルは高めです。

勉強時間の目安は約3,000〜5,000時間を見ておくとよいでしょう。短期間での合格は難しく、長期的な学習計画が前提になります。

知識量だけでなく、理論を自分の言葉で整理し、論理的に説明する力が不可欠な試験です。時間をかけてじっくり取り組む姿勢が求められる資格といえるでしょう。

稼げる士業は?年収と実態を調査

厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」では、各士業の年収の目安が紹介されています。

資格名年収の目安
弁護士765.3万円
司法書士765.3万円
社会保険労務士903.2万円
税理士856.3万円
行政書士591万円
弁理士765.3万円
土地家屋調査士765.3万円
中小企業診断士903.2万円
公認会計士856.3万円
不動産鑑定士591万円

日本の平均年収と比べると、士業の年収は全体的に高めの水準にあるといえるでしょう。高年収を目指す選択肢の一つとして、士業を検討するのもいいでしょう。

ただし、注意点もあります。

士業の年収は、調査データによって差が大きいこと、そして勤務する場合と独立・開業する場合で大きく異なることです。

たとえば行政書士は独立開業する人が多く、なかには手元に残る年間の利益が1,000万円を超える人もいます。

一方で、他の士業と兼業しており、行政書士としての売上はあえて抑えている人もいます。このように、「士業の年収はこのくらい」と一概に言うのは難しいのが実情です。

会社員として勤務する場合でも、平均年収以上は十分に狙えます。独立・開業すれば売上や年収は青天井になります。

一般的には難易度の高い資格ほど高年収になりやすい傾向がありますが、資格の難易度に関わらず、独立して大きく稼いでいる人も少なくありません。

士業の勉強には予備校や通信講座を活用する

士業の試験には独学で合格する人もいますが、8士業・10士業に分類される士業資格では、予備校や通信講座を活用するのが一般的です。

特に難易度の高い試験ほど、出題傾向を踏まえた効率的な学習が必要です。多くの受験者が予備校や通信講座をうまく活用しながら合格を目指しています。

なかには、全国平均を上回る合格率の実績がある通信講座もあります。

これから士業を目指す方は、まずは予備校や通信講座を比較しながら情報収集を始めるとよいでしょう。

自分に合った学習環境を選ぶことが、合格への近道になります。

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