「商標権」「意匠権」「著作権」は、どれも知的財産権と呼ばれる権利のうちの一つです。これらの権利について何となく耳にしたことがあっても、具体的にどのような権利なのか、それぞれどのような違いがあるのかわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、商標権・意匠権・著作権の3つの権利について、基礎知識やそれぞれの違いを、初心者向けにわかりやすく解説します。これらの権利について詳しく知りたい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
知的財産権とは、発明やアイデア、創作物などを生み出した人の財産として保護する権利です。保護する対象に応じて、以下のようにさまざまな権利で守られています。
また知的財産権のうち、「特許権」「実用新案権」「意匠権」「商標権」の4つは「産業財産権」に分類されます。
産業財産権とは、産業の発展を目的とし、発明やアイデアなどを一定の期間独占して使用できる権利です。産業財産権を取得するには、特許庁へ出願して登録される必要があります。
この記事では、産業財産権である「意匠権」「商標権」と、特許庁への登録がいらない「著作権」についてさらに詳しく解説します。
なお、特許権と実用新案権について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
商標権とは、商品やサービスを他社と区別するための「商標」を保護し、独占的に使用できる権利です。商標には、企業や製品・サービスのロゴなどが含まれます。
商標権は、企業のブランド価値を守るために重要な権利です。商標権を取得すれば、登録から10年間、会社や製品・サービスの名前やロゴマークを独占的に使用できます。そして、保護期間が満了となれば、何度でも更新が可能です。
また、商標権を取得するには、特許庁に出願して登録される必要があります。
意匠権とは、製品のデザイン(形状や模様、色彩等)を保護し、独占的に使用できる権利です。意匠権を取得することで、他社が同一または類似のデザインを無断で使用することを防げます。
意匠権の保護期間は、出願日から最長25年間です。また、商標権と同様に権利を取得するには特許庁に出願して登録される必要があります。
著作権とは、文学や美術、音楽などの芸術作品を保護し、独占的に使用できる権利です。著作権をもつことで、他の人が自分の作品を勝手に使用したり、真似したりすることを防げます。
また著作権は、商標権や意匠権とは異なり、特許庁への登録が不要です。そのため、作品を創るのと同時に著作権が発生します。著作権の保護期間は、著作者の死後70年間(法人著作の場合は公表後70年間)です。
商標権・意匠権・著作権の違いを以下の表にまとめました。
商標権 | 意匠権 | 著作権 | |
---|---|---|---|
保護の対象 | 名前・ロゴ | デザイン | 文学・音楽・美術作品 |
保護期間 | 10年(更新可) | 出願日から25年 | 著作者の死後70年 |
特許庁への登録 | 必要 | 必要 | 不要 |
どの権利も対象を保護する(真似されないようにする)点では同じですが、製品やサービスの名前・ロゴを保護したい場合は「商標権」、デザインを保護したい場合は「意匠権」を取得すると良いでしょう。
また、対象が小説や音楽、絵などの芸術作品の場合は、作品が完成した時点で「著作権」が発生します。
今回は、商標権・意匠権・著作権の基礎知識と、それぞれの権利の違いについて解説しました。
どの権利も対象を保護し、他の人に真似されないようにするための権利ですが、保護の対象や期間、特許庁への出願の有無などが異なります。それぞれの権利の特徴を理解したうえで、目的にあう権利を取得・利用しましょう。
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