生前対策とは、自身に万が一があった場合に残された家族が困らないよう、元気なうちに行うさまざまな対策です。「配偶者や子どものために今のうちから対策しておきたい」と思ってはいても、具体的に何から始めれば良いのかわからずお困りの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、生前対策の概要や主な対策方法について解説します。「相続について考え始めた」「大切な家族に迷惑をかけたくない」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
生前対策とは、万が一自身に何かあったときに残された家族が困らないよう、生前に行っておくさまざまな対策です。
生前対策といっても「何のために対策するのか」という目的によって、具体的な対策方法は異なります。生前対策を考える際は、自身が何を目的として生前対策を行うのかを明確にすることが大切です。
生前対策の目的には、「相続対策」「節税対策」「認知症対策」の主に3つがあります。
今回は、3つの目的のうち「相続対策」に注目して具体的な生前対策の方法を解説します。
相続対策を目的とした生前対策には、主に以下3つの方法があります。
それぞれの対策方法について、以下で詳しく見ていきましょう。
相続トラブルを防ぐための対策としてまずあげられるのが、遺言書の作成です。生前に遺言書を作成し、「誰に・何を・どのような形で渡すのか」などを決めておくことで、相続人同士で揉めるのを防げます。
特に、「法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)でない人に財産を渡したい」と考えている場合や、均等に分けるのが難しい「不動産」を所有している場合は遺言書がおすすめです。
ただし、遺言書を作成したからといって必ずしも有効になるとは限りません。以下の条件を満たしていない場合、遺言書は無効となるため注意が必要です。
また上記以外にも遺言書が無効となる条件はいくつか存在します。「遺言書が無効にならないようにしたい」「そもそも遺言書に何を書けばいいかわからない」という方は、司法書士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
民事信託とは、自身の財産の管理や処分を信頼できる人(受託者)に託す制度です。受託者は子どもや親族など家族が引き受けるケースが多いため、「家族信託」とも呼ばれます。
民事信託では、あらかじめ受託者と「どの財産を託すのか」「どのように管理するのか」などを決めておくことが可能です。そのため、自身が認知症などで判断力が低下した場合でも、これまでと同様に受託者が財産を管理してもらえるのです。
また、財産を管理・処分する人が決まることで、自身に万が一のことがあっても相続で揉めるリスクも軽減します。
生前贈与とは、自身が生きている間に財産を子や孫などの親族に譲ることです。
生きている間に贈与してしまえば、相続時のトラブルを最小限にできます。また、年間110万円以下の贈与は非課税のため、大きな節税効果が期待できるのもメリットです。
ただし、生前贈与で財産を譲り受けたという証明(贈与契約書など)が必要となる点に注意が必要です。証明するものがない場合は税務署から指摘が入ることもあるため、税理士などの専門家に相談しながら手続きを進めるようにしましょう。
生前対策とは、自身に万が一があった場合に残された家族が困らないよう、元気なうちに行うさまざまな対策です。しかし、生前対策にはさまざまな方法があるため、生前対策の目的によって適切な方法で対策する必要があります。
相続対策の場合、遺言書の作成、民事信託の活用、生前贈与の実施が主な対策方法となりますが、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。自分の状況や目的に合った方法を選ぶためにも、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
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