相続手続・遺言書作成とは

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人生の最期に向けた準備として、遺言書の作成や相続手続きの理解は欠かせません。基礎知識として押さえておきたいのは、遺言書の効果と作成の手順、相続手続きの内容および期限です。

相続を円滑に進めるための基礎知識

亡くなった人(被相続人)の財産は、遺言がある場合はその内容に従って分割し、遺言がない場合は相続人全員が参加する遺産分割協議によって各人の取得分を取り決めます。このように財産を承継する相続の手続きには、円滑に進めるためのポイントがあります。

遺言と相続手続の関係

遺言とは、生前の意思を法的効果として発生させるためのもので、その主な役割は、「誰に・どの財産を・どの割合」で承継させるかを指定することです。その特徴として、下記のようなものが挙げられます。

  • 法定相続とは異なる内容の遺産分割を指定できる
  • 相続人でない人(内縁の妻など)に財産を取得させられる
  • 子の認知、相続人の廃除など、相続人の変更に関することを指定できる
  • 遺言執行者(遺言の実現にあたる人物)を指定できる
  • 未成年者について、後見人や後見監督人を指定できる
  • 必要に応じ、一定期間にわたって遺産分割を禁止できる

相続手続きにおいて、遺言の存在は「相続トラブルの防止」や「家族の事情に合わせた遺産分割の実現」に役立ちます。あらかじめ家族と話し合い、そこで全員が納得できる内容を遺言とすることで、遺産分割協議の手間と争いが発生する可能性を防ぎ、相続人の負担を減らすことができます。

遺言書の種類と特徴

遺言は書面にすることで効果を発揮し、その方式には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つがあります。自筆証書遺言は手軽な方法として選ばれやすく、安心・確実な方法としては公正証書遺言が信頼されています。

    ■自筆証書遺言の特徴

  • 遺言者本人が全文自筆で作成(財産目録はパソコン作成可)
  • 法務局による保管制度で紛失・改ざんリスクを回避できる
  • 法務局保管を利用しない場合は、家庭裁判所での検認手続が必要となる
    ■公正証書遺言の特徴

  • 公証役場で公証人が作成(証人2名の立会い要)
  • 原本は公証役場で保管され、遺言者は正本と謄本を受け取る
  • 検認不要で、原本の紛失や改ざんの心配がない
    ■秘密証書遺言の特徴

  • 中身は遺言者自身で作成し、公証役場で封印(証人2名の立会い要)
  • 原本は遺言者自身で保管する
  • 検認不要で、原本の紛失や改ざんの心配がない

遺言書作成の手順

遺言書を作成するときは、財産状況の把握や相続人の確定などの事前準備が必要です。作成については、指定された方式を厳守することが重要です。

財産調査・相続人の確定

まず、自身の財産を正確に把握することから始めます。不動産や預貯金、有価証券などの財産を洗い出し、それぞれの評価額を確認する必要があります。不動産については、固定資産評価証明書などで正確な価値を把握する必要があります。

次に、法定相続人を確定させます。戸籍謄本などで血族関係を確認し、配偶者や子、親などの相続順位を整理します。相続人の範囲は民法で定められており、正確な把握が必要です。

遺言方式に沿った書面の作成

遺言書を作成するときは、法律で定められた方式の確認を徹底する必要があります。よく利用される自筆証書遺言および公正証書遺言では、次のポイントを確認しましょう。

    ■自筆証書遺言を作成するときの確認事項

  • 用紙サイズや余白の指定は守れているか(自筆証書遺言保管制度を利用する場合)
  • 全文手書きで作成できているか(ワープロ・パソコンによる作成は不可)
  • 署名、押印、作成した日付は揃っているか
  • 訂正する場合、そのルールは守れているか
    ■公正証書遺言を作成するときの確認事項

  • 欠格事由に該当しない証人を手配できるか(相続人などは不可)
  • 公証役場に本人が行き、口頭で遺言内容を述べられるか
  • 本人確認書類や印鑑などの必要な持ち物は揃っているか

遺言書に記載する内容についての検討も重要です。自分の意図にあった文面になっているか、分割する財産を登記事項などに基づいて指定しているか、しっかりチェックする必要があります。

相続手続の流れと期限

相続手続きでは、遺産分割の内容を確認し、適切に払戻しや名義変更を行う必要があります。税申告などの都合で、期限がある点にも要注意です。

相続手続の期限

亡くなった人がいる場合、遺産を受け継ぐか否かを判断する期限は「相続開始を知ってから3ヵ月」です。多額の債務があるなどの理由で相続放棄や限定承認を選ぶ場合、上記期限内に手続きをする必要があります。

また、相続財産を得る場合には、相続開始から10ヵ月以内に相続税申告を実施しなければなりません。税申告の期限までに課税額の計算などが行えるよう、預金の払戻しなどの手続きは早めに行う必要があります。

相続手続の内容

相続手続きでは、遺言書がある場合はその内容を確認し、遺言がない場合は遺産分割協議書で相続人同士で合意した内容をとりまとめたうえで、財産ごとに名義変更手続きを行う必要があります。具体的には、以下のような手続きです。

  • 預貯金の場合:口座解約、払戻し
  • 不動産の場合:所有権移転登記(相続登記)
  • 株式、債権などの場合:証券の移管手続、株式名簿の書換え手続

まとめ

遺言書と相続手続きへの理解があれば、万一のときに家族の負担を減らすことができます。できるだけ早めに話し合い、必要な準備を進めていくことが大切です。相続にあたって「何から始めればいいのか分からない」「確実に遺言したい」などといった問題は、弁護士などの専門家を交え解決していきましょう。

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