社会保険手続とは

社会保険手続

企業が従業員を雇用する際には、労働保険と社会保険への加入が法律で義務付けられています。これらの手続きは期限が定められており、遅延や漏れがないよう、必要に応じて専門家と相談しながら進めることが大切です。

労働保険・社会保険の基礎知識

労働保険は、労災保険と雇用保険を総称した制度です。一方、社会保険は、健康保険と厚生年金保険を指します。これらは従業員の病気・けが、失業、老後の生活を保障する重要なセーフティーネットです。

労働保険は原則としてすべての法人・個人事業主に加入義務があります。社会保険も、法人の場合は強制加入とされます。未加入や手続き遅延が発覚した場合、最大で50万円以下の罰金や6か月以下の懲役が科される可能性があるほか、過去の保険料を遡って徴収されかねません。

社会保険・労働保険の加入要件

保険加入の要否は、事業所の形態や従業員の労働条件によって判断します。以下では、それぞれの保険における適用要件を確認してみましょう。

社会保険の適用対象

社会保険は、すべての法人事業所が強制適用の対象です。個人事業主の場合は、従業員が常時5人以上いれば強制適用となります。2024年10月からは、従業員数51人以上の企業において、週20時間以上勤務するパートタイム労働者に適用範囲が広がります。

    ■社会保険の加入対象となる労働者の条件

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 雇用期間が2か月を超えて見込まれること
  • 学生でないこと

労働保険の適用対象

労災保険は、従業員を1人でも雇用していれば強制適用の対象です。社会保険とは異なり、業種や企業規模、雇用形態による区別はありません。

    ■雇用保険の加入対象となる労働者の条件

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある

※農林水産業の個人事業主など、一部の事業所では任意加入が認められています。

必要書類と手続きの流れ

保険の種類によって提出先や必要書類が異なります。手続きの遅延を防ぐため、事前に準備すべき書類を把握しておかなくてはなりません。

社会保険の手続き

社会保険の手続きは、事業所の所在地を管轄する年金事務所で行います。基本的な提出書類は、新規適用届と被保険者資格取得届の2種類です。これらについては、事実発生日(労働者が加入条件を満たした日)から5日以内に提出しなければなりません。

上記以外の添付書類として、法人の登記事項証明書(発行から3か月以内)、従業員名簿、雇用契約書なども必要です。電子申請も可能で、利用率は年々増加しています。

労働保険の手続き

労働保険の手続きは管轄の労働基準監督署で行います。基本的な提出書類は、保険関係成立届と概算保険料申告書です。成立届は事業開始日から10日以内、概算保険料申告書は50日以内が提出期限となります。

上記以外の添付書類として、法人登記簿謄本、事業主印鑑証明書なども必要です。近年は電子申請による手続きも推奨されており、e-Govポータルサイトから申請できます。

専門家への依頼を検討すべき場合

社会保険・労働保険の手続きは、期限や要件が複雑で、ミスが許されません。以下のような場合は、専門家への相談を検討すべきです。

社会保険労務士への相談が有効なケース

社会保険労務士は、保険手続きのスペシャリストとして、書類作成から提出までをサポートします。とくに、初めて手続きする場合や、パートタイム労働者など複雑な雇用形態がある場合には、相談することが望ましいといえます。

また、社内で手続きできる場合でも、大量採用時には負担が大きくなるため、アウトソーシングを積極的にすべきです。手続きの電子化支援など、実務面での助言も期待できます。

弁護士への相談が推奨されるケース

加入要件の判断が難しい場合や、従業員との間でトラブルが発生した場合は、弁護士への相談が適切です。また、コンプライアンス体制の構築や、労務管理規程の整備についても、法的な観点からアドバイスを得られます。

とくに、未加入が発覚した場合や、従業員から訴訟を提起された場合は、速やかに弁護士に相談すべきです。リスクを最小限に抑えるための対応策について、積極的なアドバイスが得られます。

まとめ

社会保険および労働保険の手続きは、企業にとって重要な法的義務です。手続きの遅延や漏れを防ぐため、専門家のサポートを適切に活用しましょう。とくに、初めての従業員雇用や、社内での雇用形態の混在、大量雇用を予定する場合には、専門家へのアウトソーシングが有効です。

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